ランニングやウォーキングなどスポーツを行っている方で、膝の前面の部分が痛いという方は多いです。
太もも周りの筋肉のストレッチやトレーニングをしてもなかなか痛みが解決しないという場合は、
膝蓋下脂肪体と言う組織が痛みの原因の可能性があります。
この記事では、当院で経験したスポーツでの膝蓋下脂肪体の痛みの例を3つご紹介してゆきます。
この記事を書いた人

長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
膝蓋下脂肪体しつがいかしぼうたいとは

は、膝の前側、お皿の下の部分にあります。
膝を伸ばした状態だとポッコリと表面にでてきて、逆に膝を曲げると関節の中に引っ込んで行く性質があります。

この性質を利用して、院内では以下のような検査を行います。
▽膝を伸ばした状態で膝蓋下脂肪体を押して痛みを確認する
▽次に、痛い部分を押したまま膝を曲げてゆくと痛みが軽減するのを確認する

また、脂肪組織ですので、冷やすと固くなり、温めると柔らかくなるという特性があります。

この性質を利用して、温めて動きを良くしたり、マッサージで動きを良くすると痛みが改善することがあります。
このように、『温めて楽になる場合は脂肪組織の硬さが痛に関わっている』 と考えることもできます。
運動をしている人に多発
膝蓋下脂肪体に負担がかかるケースとしては、打撲などで痛めたあと硬くなってしまうケースと、打撲などのきっかけとなるケガはしていないのだけれども、動きの中でストレスがかかってしまって硬くなっているケースの2つに分かれます。
▽打撲などにより痛みが出てくるケース
▽きっかけなく徐々に痛みがでてくるケース
今回ご紹介するのは、打撲などで痛めたケースではなくて、思い当たる原因がないのだけれども運動の中の繰り返すストレスにより痛みが発生しているケースになります。
ランナーや、自転車競技・球技など、各種スポーツの方に起こりますし、スポーツを行っていない普通の方などにも起こります。
では、以下に実際にあったケースをご紹介します。
ケース① ランナー 膝内側の痛み

1つ目のケースはランニングをなさる方です。
症状としては膝の内側の痛みがあります。特に『長距離を走った後、徐々に痛くなり走れなくなる』とおっしゃっています。
痛くなったあと、2~3日安静にしていると痛みが落ち着き、また走り始めると痛いといった症状でした。
ランナーの方で、膝蓋下脂肪体の部分に痛みを訴えていらっしゃる方の多くは、走り方の中で膝に強いねじり力(回旋力)が加わっており可能性が高いです。
この方の場合は、ご自身でも足をこねるような走り方をしている自覚がありました。
対策としては、まずは膝蓋下脂肪体の痛みであることを確認するために、ほぐして柔らかくして痛みが改善するかどうかを見ます。

トレイルランニングなどをしている方の場合は、階段の下り動作などで痛みが発生するケースが多いので、そういった部分を確認するようにします。

この方の場合、膝蓋下脂肪体をほぐして柔らかくすると、その時点でかなり痛みが減って楽になっていましたので、膝蓋下脂肪体をやわらかくするセルフケアをお伝えするようにしました。
それに加え、普段のランニングの中で走り方を少しずつ見直していただくことをお勧めしました。
走り方に関して、正解は一つではないと思います。
その人その人の走り方、長距離を痛みなく走り続けることができる走り方 と言うのが正解になるのだと思います。
ランニングを始めたばかりの方の場合は、ランニングをするための基礎的な筋力がまだ無い可能性がありますので、この場合もケアをしながら少しずつ行っていただくことが一番のリハビリになると考えています。
ケース② 自転車 膝の外側の痛み
2つ目のケースは自転車をされる方になります。

自転車で長距離を走った後から膝下の外側に痛みがあるという方がいらっしゃいました。
この方も、①のケースと同様の検査をして膝蓋下脂肪体の痛みが疑われましたので、もみほぐし方などのセルフケアを御伝えしました。
自転車の場合はペダルを踏み込む時や引き込むときに膝に不自然な力が生じているために起きていることだと思われます。
この方の場合は、以下のように膝から下が外側にねじれている、かつ膝じたいが少し外に逃げるような動きになっていることが検査から推測されましたので、こぐときになるべくまっすぐこいでいただくように御伝えいたしました。


ランニングと一緒で、そのスポーツを始めたばかりの方というのは、いろんなところに痛みが出やすいですが、ある程度経験がある方で痛みが出てくる場合は、使いかたに問題がある可能性があります。
この場合は使い方の改善を並行して行ってゆく必要があります。
また、膝だけでなく、股関節や足首の柔軟性がないと膝に負担がかかりやすいので、そういった部分をケアするようにした方がいいケースもあります。

ケース③ バスケットボール選手 膝の正面の痛み

3つ目のケースは、バスケットボール選手の膝の正面の痛みに膝蓋下脂肪体がからんでいたケースです。
この方は社会人レベルでバスケットボールをされている方で、ジャンプの着地動作や、ジャンプする時に膝の正面からやや下の方にかけて痛いというふうにおっしゃられていました。
この方の症状をよく観察してみると、膝蓋下脂肪体の部分にも痛みがありますが、膝のお皿の骨の上の部分にも痛みがあります。

この膝のお皿(以下・膝蓋骨)と大腿骨という骨の間の関節は、膝蓋大腿関節と言いますが、ジャンプを繰り返す競技などでは、この部分に痛みを発生しているケースもあります。
このように細かい症状としては二つの痛みが混在している状況でしたので、施術もそれぞれに対するケアが必要になります。
▽膝蓋下脂肪体に対しては、ほかの方と同様にセルフでマッサージをするようにしていただきました。
▽膝蓋大腿関節の痛みに対するケアに関しては、お皿の周囲が硬くなっていましたので、柔らかくマッサージをすることと、膝蓋骨のセッティングと言って、動きを良くするようなエクササイズをしっかりと行っていただくことを行いました。

また、太ももの前側の筋肉の張りが強すぎることで痛みにつながることがありますので、その場合は太もものストレッチをしっかり行う必要があります。


このようにそれぞれに対してケアをおこなったところ、症状は軽快し、スポーツ復帰されました。
バスケットボールのようにジャンプの多い競技で膝の前側が痛いと、ジャンパー膝という膝蓋骨の下の腱の症状が多いのですが、今回のケースのような例もあります。
まとめ。
以上のように、当院で経験した3つのケースに関して簡単に紹介しました。
膝蓋下脂肪体が痛みの原因の時は、多くのケースで練習を休むことなく対応可能です。※炎症があるときなど、例外はあります
なかなか膝の痛みが取れない時というのは、こういったことも考えられますので、ぜひ一度ご相談ください。
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