中~高校生の成長期の時期には、関節や骨の周りの痛みが出やすくなります。
スポーツを行っていない方でも痛みが出やすい時期ですので、スポーツを本格的に行っている学生スポーツ選手は、常に関節周りの痛みに注意する必要があります。
今回は成長期スポーツ選手の腰痛に関して、当院での施術例をもとに解説して行きたいと思います。
この記事を書いた人
長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
腰椎分離症に注意
まず一つ気をつけないといけないのは、学生年代の方が腰痛を訴えられている場合は、必ず原因があると考えたほうがいいということです。
(中高年期の方の腰痛の場合には、原因が特定できないような腰痛がかなりの数あるとされています)
例えば腰の骨に疲労骨折があるとか、関節の捻挫があるとか、何かしらの原因があるケースがほとんどです。
なので、当院でも学生スポーツ年代で腰痛を訴えられた患者さんがいらっしゃった場合には、まずは整形外科に行っていただくようお勧めしています。
代表的な例として、腰椎分離症という腰の骨の疲労骨折があります。
野球やバレーボール・陸上競技など、速く走ったり、身体を強くひねったりするような競技で多い腰の骨の疲労骨折のです。
この場合、病院でしっかりと固定をして、治療をする必要があります。
適切にリハビリをすれば、骨折した骨がくっつくのですが、治療すべき時期に無理をしてスポーツを続けていると、骨折部分がくっつかなくなってしまいます。
そうなると、大人になってから腰痛が継続していたりすることがありますので、最初のうちにしっかりと処置をすることが大切です。
当院でも、年間に何例か腰椎分離症を疑わせられる症状の方がいらっしゃいます。そういった場合はまずは整形外科に行っていただいて検査を受けていただくようにお勧めしております。
腰椎分離症以外にも様々な病変が考えられますので、まずは整形外科で検査をしっかりと受けていただいて、その上で施術していくことが基本です。
病院の検査で異常が見つからないのに痛い時は
病院の検査で異常が見つからないのだけれども、腰痛が続いているケースというのがあります。
この場合は、画像には映っていないのだけれども、問題になっている場所があると言うことを念頭において、様々なカラダを動かす検査を行って、原因を追求して行く必要があります。
ここからは当院で経験した、学生年代のスポーツ選手の腰の痛みに関して、実際のリハビリの方法をご紹介して行きたいと思っております。
あくまでも一例ですので、すべての方がこの症状と同じような経過を取るとは限りません。
※また個人情報を特定できぬよう、情報に少し変更を加えています。
症状
基礎情報
中学2年生 男性 バレーボール部に所属 中学校に入ってからバレーボールを始めた。
1か月前より運動中~後の腰の痛みがあり、最近では運動後だけでなく日常生活でも痛くなってきたとのこと。
当院に来る前に、保護者の方からお電話でご相談をいただいていた為、先に整形外科を受診してもらうようにアドバイスしました。
整形外科の検査では 筋膜性の腰痛 とのことで、『運動のし過ぎによる痛みなので特に何もしなくて大丈夫』とのことでした。
ただ、そのあとも痛みが残存しているために改めて当院を受診されました。
痛い動作
すわっている時にも痛い
長時間立っている時も痛い
動くと余計に痛い
という訴えでしたので、細かく診るために立位で前屈・後屈などの動作をしてもらいます。すると、反らすと痛い・前屈しても痛いという事がわかりました。
前述の腰椎分離症の方の場合、反らす動作、回旋する動作で痛みが発生しやすいので、反らした時に痛みがあるのは要注意です。
各種検査の結果
下肢の柔軟性は問題なし
・左側の背中から腰の筋肉に緊張が強い
・圧痛(押したときの痛み)を検査すると 左側の第3腰椎と第4腰椎のつなぎ目の関節付近に圧痛が非常に強く、腰椎の分離症 を疑う所見です。
どこが痛いのか 痛みの機序
この方の場合、痛みの原因になっていると思われる場所は以下の場所です。
腰の骨は5個ありますが、そのうち上から3番目の骨と4番目の骨のつなぎ目のあたりに圧痛が強くあります。
ここにバレーボールの動作でスパイク動作を中心に回旋と伸展が加わり、痛みを発生していると考えました。これが反らした時の痛みの原因と考えます。
整形外科で骨に問題がないと診断していただいていますので、はっきりと画像にうつる状況までは行っていないけれども、このまま続けていると腰椎分離症に移行してしまう状況 ととらえることもできます。
また、この部分に痛みがあると周囲にある神経が刺激されて、その神経に関係する筋肉や筋膜の緊張が強くなります。これにより前屈時の痛みや座っている時の痛みが誘発されていると考える事が出来ます。
このように原因となる痛みがあり、その痛みをガマンしてプレーを続けるうちに、本来痛くないはずの筋肉まで痛みを発生することは多くあります。
リハビリの方法
痛みの強い時期は
基本的に痛みがあるうちは運動は完全に休止してもらう事が大切と考えています。
日常生活では痛みの起きる動作を行わないようしてもらいます。
どのようにすると痛みが強くなるのか、どうすると痛くないのか?をしっかりと本人と保護者の方に説明します。年齢にもよりますが、学生年代の方の場合、最初の何回かは保護者の方も一緒に治療風景を見ていただき説明を聞いてもらいます。
ご本人のみに説明すると、意外と伝わっていないこともあるので、保護者の方も含めて説明することで大切な部分をしっかりと把握してもらいます。
痛みがすこし落ち着いてきたら
痛みがすこし落ち着いてきたら運動を伴わない形での体幹部の強化運動を始めます。
ですが、この時期はまだ不安定なので絶対に無理をしないようにします。
図のように仰向けで腹圧を高め、腰の骨の動きをコントロールする動作があります。
徐々に、イラスト右のように、足を浮かした状態でのトレーニングに移ります。
足を浮かすと痛みが出やすいので、注意しながら行っていきます。
運動の量も10秒で1セットから始めて、徐々に2セット、3セットというふうに増やして行きます。
次に立った状態で少しトレーニングを行っています。
例としては、立ち上がって腹筋に力を入れた状態でバンザイをするようなトレーニングを行っていきます。
そういったものができるようになってきたら、今度は片足立ちの状態で同じようにバンザイをしたりして、立った状態での体幹部のコントロールを行っていきます。
並行して下半身の筋肉の硬さなどがある方の場合は、ストレッチを行っていただくようにします。
ストレッチに関しては、その方の体質などによってどこまで必要かは変わってきますので、柔軟性の足りない方には多めにやっていただきます。
柔軟性がもともとあるタイプの方には少な目でも結構だと思います。
この辺りは実際に患者様の身体の様子を見ての調整が必要です。
段階的にスポーツへ復帰
上記のような形で体幹部のコントロールを行って痛みが改善してきたら、段階的にスポーツ活動へ復帰していただきます。
いきなりすべての練習に無制限で復帰すると痛みが発生する可能性が高いので、まずはジャンプ動作をしないことを条件に、決まった形のパス練習やトスの練習などを行っていただくようにします。
そこで問題がないことを確認してからジャンプを行っていただいたり、スパイク動作を行っていただいたりする形に進み、最終的に制限なしで部活動への参加を許可します。
スポーツへの復帰は痛くなくても段階的に、少しずつ行います。
自己判断で復帰して、再発する選手はこの部分がうまくいっていないことがほとんどです。
復帰した後もケアは必要
無事にスポーツ復帰したあとも、成長期の時期は痛みが発生しやすい時期なので、月に一度もしくは二ヶ月に一度ぐらいのペースで確認することが理想です。
しっかりと体幹部の筋力が保たれているか、必要な柔軟性が保たれているか、などをチェックします。
成長期の時期の方に対する施術では、特にセルフケア指導に力を入れています。
以上、当院で経験した学生バレーボール選手の腰痛へのリハビリについてお伝えして参りました。
本来であれば病院でしっかりとフォローしながら行うことがベストなのですが、この方の場合は保護者の方の時間の関係で、そこまで何度も病院に通えないということでしたので、考えられるリスクを説明した上で施術をさせていただきました。
ながとも接骨院からおしらせ
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施術のご相談に関しては直接、院へお願いいたします。
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