今回は陸上短距離選手に発生したハムストリング肉離れの施術経験をもとにリハビリメニューの一例をご紹介します。
以前、ハムストリング肉離れのリハビリメニュー例と言う動画を配信しました。基本的なリハビリの流れはこちらの動画で説明しています。
この内容だと陸上短距離選手のメニューとしてはフィールドメニューの説明が足りていないので、今回は短距離選手に特化した形で御伝えいたします。
ハムストリング肉離れについて

スプリンター・短距離陸上選手で多いのはハムストリングの肉離れです。
ハムストリングとは、もも裏にある筋肉の名前で、半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋の三つです。
このうち多いのは大腿二頭筋の肉離れだとされていますが、実際に患者様を診察していると半膜様筋もそこそこあると思います。
ここでは実際のリハビリの進め方をメインに説明しますので、肉離れの分類や解剖学的な記述などは省きます。
肉離れの診断は、レントゲンだけでは難しいとされていますので、もし近くにスポーツ選手を多く診ている整形外科がある場合、そちらへの通院を考えましょう。
エコーやMRIなどの画像検査の結果を確認しながらリハビリを進める事で、早く治る可能性が高くなります。
肉離れリハビリの注意点
今までに多くの方の肉離れ治療に関わらせていただきましたが、ポイントは3つだと考えています。
①段階的に負荷をかける
②その競技でかかりうる一番強い負荷をかけてから復帰する
③時間で区切ったリハビリをしないこと
①一度のトレーニングで急に量を増やすことはNGで、少しずつ日をまたいでトレーニング強度を高めてゆくことが大切です。
②競技でかかる最大の負荷をかけて問題がないことを確認してから復帰しないと、再受傷の危険性が高まります。
③例えば、受傷して〇週間たったら○○するという考え方はあまりお勧めできません。
損傷の程度が人によってちがうので、うまくいくケースとうまくいかないケースが出てきます。その代わりに、〇〇ができたら次のステップに行く という考え方にします。
復帰の予測をするうえで『だいたい〇か月くらいで復帰したい』という予測・目標設定は必要ですが、実際のリハビリの中で時期で区切ってリハビリを行うと、患部の状態に合わない高強度のトレーニングを行ってしまい、再受傷の原因になる可能性があります。
陸上短距離選手向け ハムストリング肉離れリハビリの実際
第1段階 炎症期
【患部の状態の目安】

▽歩くだけでも痛い
▽ストレッチするとすごく痛い
【室内メニュー】
安静第一
【室外メニュー】
安静第一
この時期は患部を動かすことは避けます。
他の部位は動かしても良いですが、基本的には日常生活以外の運動は休みにした方がよいケースが多いと感じます。
そのかわり、今後のリハビリの予定を綿密に説明し、復帰へのロードマップを示すことで、選手の不安を和らげることが大切です。
この時期に正しい知識を得ておくと、今後のリハビリの中で痛みが発生したときなどにも冷静に対応できるようになります。
第2段階 炎症期がおちついたら
【患部の状態の目安】

▽普通に歩くのは痛くない
▽強めに伸ばすと痛い
【室内メニュー】

▽室内トレーニングとしては、うつ伏せで片足ずつ持ち上げる運動、90度での両足ヒップリフトなどのハムストリングへの刺激の少ない物から開始します。
▽秒数は、まず5秒×3セットで行い、痛みの出ないことを確認して10秒×3セットに移行します
【室外メニュー】

▽屋外のトレーニングでは、ウォーキングから開始します。いきなり走ってはいけません。
▽普通のウォーキングから、足をすこし上げる形のウォーキング、アンクルウォークというように徐々に動きを変化させてゆきます。
▽サイドステップに関しては、基本的にハムストリングへの負荷は強くないので、すこしスピードを付けて行っても大丈夫です。
▽ウォーキングが問題なければ、縄跳びなども行なって大丈夫です。縄跳びは普通に飛んでいる分にはハムストリングへの負荷はそこまで高くないので、リハビリ中も積極的に取り入れてゆきたい種目です。
▽上記が問題なければ、50メートルほどのジョグを開始します。スピードはゆっくり。
目安としては50メートルを20秒以上かけてからスタートして、15秒以上、12秒以上 という形をとりましょう。
第3段階 ハムストリングに徐々に負荷をかける
【患部の状態の目安】

▽伸ばしても痛くない
▽ジョグなどは痛みなくできる
▽強い収縮は怖い 早く走るのはまだ怖い
【室内メニュー】

▽ストレートヒップリフトやシングルヒップリフトなど、静止状態である程度刺激の強いもの。
▽自重でのルーマニアンデッドリフトなど動的なトレーニングを行います。
▽このあたりで一度痛みが出てくることもおおいので、運動後の患部の状況チェックはしっかりと行います。早く復帰したい選手は痛くても痛いと申告しないことが多いので注意して対応します。
▽痛みが出てきた場合は、かならず一度負荷を下げるようにします。
▽ここで痛みが出たままトレーニングを継続すると症状が長引く原因となります。
【室外メニュー】

▽室外でのトレーニングとしては、スキップ、軽めのパウイング動作を入れたスキップ動作、ストレートレッグバウンドなどがおすすめです。
▽この時期のメニューは、今後走るメニューのレベルをあげていった時のウォームアップとしても使えますので、丁寧にしっかりと行うようにします。
▽縄跳びは、基本的にハムへの刺激が少ないものが多いので、痛くならない範囲で強度を高めていっても大丈夫です。※二重跳びなど
第4段階 強度をあげてゆく
【患部の目安】

▽強く伸ばしても痛みなし
▽それなりにスピードを出して走れる
【室内トレーニング】

▽ルーマニアンデッドリフト(自重から軽負荷の重り、中負荷の重り)
▽片脚でのスーマニアンデッドリフト
▽シングルヒップリフトの足の下にバランスディスクやバランスボールを置いて強度を上げてゆきます。
▽ノルディックカール 二人一組でおこないます。
【屋外メニュー】

▽種目に近い流しメニュー 60% 70% 80%
全力のスプリントはまだNG
▽一つ前の段階のメニューをウォームアップとして、ハムストリングにしっかりと血流を増した状態でランメニューを行う。ウォームアップが出来ていないと再発しやすくなります。
▽流しのレベルを上げるときはなるべく一日の中で行うのではなく、翌日痛みが出ていないかどうかを確認して行うようにします。
注意点
同じ日に室内トレーニング(筋トレ)と屋外トレーニングを行う場合、高強度の室内トレーニングは屋外トレーニングの後に行う方が安全です。
この時期の室内メニューは筋肉痛を伴うような強度になっている為、室内メニューで筋疲労がたかまった状態で屋外の走るトレーニングを行うと、思わぬ再受傷のリスクがある為です。
第5段階 ハムストリング肉離れリハ仕上げ時期
【患部の状態】
ほぼ不安なし
【室内トレーニング】

▽片脚ルーマニアンデッドリフト(高強度)
▽ノルディックハム(なるべくゆっくりしっかりと)
▽バランスボールorディスク上でのシングルヒップリフトを動的に行なう
▽この時期に成ったら走るメニューを増やして筋トレのメニューは減らしてゆきます。目安としては週に1回~2回程度です。
【室外トレーニング】

▽スタートでの爆発的な力発揮の練習
▽ランメニューの強度を90%以上にあげて、全力でのスプリントにつなげてゆきます。
肉離れ復帰後
復帰後も受傷した部位のケア・強化は定期的に行なうようにします。
身体の状況を把握する意味で、入浴時などにハムストリングを中心に足をもみほぐし、硬さを確認することも大切です。
ハムストリング肉離れは再発の非常に多いケガです。今回紹介した内容はあくまでも一つの例ですが、当院ではこのような形でリハビリを行い、なるべく早く復帰していただけるようサポートしております。
陸上競技に限らず、走る種目すべてに応用できる内容ですので、お困りの場合はぜひご相談ください。
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