肩の痛みで悩むスイマーへ ~プル動作で痛みを感じたら読む記事~ 接骨院の視点から

カラダのこと 手(上肢)

水泳を行う方で、肩に痛みがある方は多いです。

今回は水泳のプル動作にて痛みがあるケースについて解説してゆきます。

水泳の肩の動きは大きく分けてリカバリーとプル~プッシュの時期に分けることが出来ます。
各期で筋や関節の使われ方が違いますので、痛みの原因も違う事が多いです。

リカバリー期に肩に痛みがあるケースについては以前、別の記事を書いています。リカバリー期の痛みがある方はこちらをご覧ください。※クロールリカバリーでの~という題名になっていますが、他の泳ぎ方にも通ずる内容です

執筆者

長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)

柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。

※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。

プル期で痛い場合でも、痛む場所で原因が違う

プルの時期で痛いといっても、肩の痛む場所によって原因が違います。

大きく分けると ①肩の前から上が痛いケース ②肩の後ろから下が痛いケース に分ける事が出来ます。
ここからはその2つのケース別に解説してゆきます。

①プル動作で肩の前方から上方が痛いケース

まず、プル動作で肩の前方から上方にかけて痛い時に、ポイントとなる場所は以下の3つの部位です。

  • 上腕骨の骨頭
  • 烏口肩峰アーチ (肩甲骨の肩峰、烏口突起)
  • 肩の筋肉の腱

この場合は痛みの出ている場所からすると、痛みの発生している場所に起こっていることとしては


烏口肩峰アーチと言われる関節の上がわの壁に、上腕骨頭がぶつかるストレスが発生しているか、
水をかく力の反作用で骨頭が前上方に押し付けられて、その状態でさらに腕を動かすためにこすれるストレスがかかり、腱や、滑液包といった柔らかい組織に痛みが発生していることが考えられます。

なぜそのようになるか?というと
肩関節を取り巻くインナーマッスルや、大円筋、広背筋、大胸筋といったアウターマッスルが硬くなっていたり、筋力がうまく発揮されなかったりして、肩の関節のスムーズな動きが阻害されているということが考えられます。

また、肩回りの筋の問題だけでなく、胸郭(肋骨のあたり)をスムーズにひねる、反らす方向の柔軟性が足りないことや、肩甲骨周囲の適切な筋力・筋持久力などが不足していることも原因となります。

何が原因になっているかは人によって違いますので一概には言えませんが、施術の優先順位としては、肩甲骨や胸郭の柔軟性に問題があれば、まずはそちらの柔軟性を出すことを優先的に行います。

肩甲骨や胸郭の硬さがあるばあいは、まずそちらを改善することを優先する。

肩甲骨周りや胸郭の柔軟性が足りないと、その状態で筋力を強化しても痛みがとれないことが多いので、基本的には柔軟性を優先するようにしています。(当院では)

肩甲骨・胸郭の柔軟性に問題がなくて痛みが発生している場合は、前述のように原因となっているインナーマッスルやアウターマッスルの硬い組織・うまく動いていない組織を探して、的確に緩めていく・強化してゆくということが必要になります。

ケアの一例 胸郭を柔らかくするストレッチ

胸郭をひねる方向へのストレッチ

背骨は24個の骨で構成されていますが、このひとつ一つを適切に動かすように意識してゆきます。特に、骨の形の関係で胸郭と呼ばれる部分の捻りはとても重要です。呼吸を深く保ちながら、ゆっくりと行うようにします。

胸郭を反らす方向のストレッチ

イラストのような背骨を反らす方向の柔軟性も大切ですので、捻るストレッチに合わせて行うとよいでしょう。

ケア一例 肩甲骨の動きを良くするためのストレッチ

肩甲骨の柔軟性をつけるストレッチ

タオルや何か棒をつかんで、イラストのように背中に回してゆきます。

この時、肘がなるべく曲がらずに行える幅でつかむようにします。
肘を曲げずにタオルや棒を後ろに持ってゆくには、肩甲骨の動きがしっかりしている必要があるため、肩甲骨周りが硬いとうまく行えません。

最初はうまくできなくても、毎日少しずつ行うとだんだん出来るようになってきますので、日ごろのケアに取り入れるとよいでしょう。

良くない例↓

②プル動作で肩の後方から下が痛いケース

プル動作の中で、肩関節の後方から下の方が痛い場合に当院で注目している部位は以下の4つです。

  • 三角筋(さんかくきん)
  • 小円筋・大円筋(しょうえんきん、だいえんきん)
  • 上腕三頭筋(じょうわんさんとうき)
  • 腋窩神経(えきかしんけい)

肩の後方から下方にかけての筋肉の硬さなどにより、わきの下の部分をとおる腋窩神経という、肩の運動・感覚を支配している神経を圧迫してしまうことがあります。

この腋窩神経は筋の間の小さなスペースを通過する為、もともと圧迫されやすい神経ですが、繰り返す運動ストレスや、トレーニングによって肥大・硬くなった筋肉ではさらに挟み込まれやすくなります。

この場合は、圧迫している筋をほぐしたり、筋と筋の間を動きやすくする必要があります。接骨院での施術では直接この神経の圧迫を取り除くような手技を行います。

以下にセルフケアの例をご紹介します。

ケアの一例 肩後方のもみほぐし

腕を90度に上げた状態で台の上にのせ力をぬきます。反対側の自分の手でほぐす。

▽コツとしては、ほぐされる側の手をなるべく脱力して、掴む側の手も、指を立てずにソフトにつかみ、その状態で矢印の方向にユラユラと動かすようにします。

▽肘の下にタオルなどを入れると台に押し付けられる痛みが減ります。

ほぐされる側の肩回りに余計な力が入っていると、もみほぐしてもただ痛いだけで効果はほとんど出ません。かならず脱力した状態で行います。

ケア一例 肩後方のストレッチ

上のケアのつづきで、そのまま矢印の方向へ倒してストレッチします。※ここでは肩の後方の筋肉、棘下筋、小円筋を伸ばしています。

図の左側↖は肩の関節を90度に上げて行っていますが、右側↗は120度ほどまで上げて行っています。
このように肩の角度を変える事で、プル動作の中でもいろいろな角度に対応できるようになると考えています。

また、痛みが発生している方は、このストレッチをいきなり行ってもうまく伸びないことが多いので、まず上記のもみほぐしをしっかりと行って、柔らかい状態を作ってからストレッチするようにします

まとめ

水泳のプル動作で肩が痛いケースは多いです。

泳ぎ方、トレーニング量、個人体質(もともとのカラダの硬さなど)や、今までにされてきたお怪我、日常生活動作の習慣など、様々な面が重なって一つの症状が現れてきます。

動作の特性上、肩へのストレスはかかりやすい種目ですので、長く続けるためにはそれなりにケアをしていかなければいけないと思います。特に、タイムを縮めるためにトレーニングしている方は、どうしても強く水をかきますので、肩への負担が多くなります。

逆にとらえると、ある程度の柔軟性が保たれて、強く水をかかなければ(タイムを目標としなければ)、あまり肩の痛みは出てこないと感じます。
この辺りはランニングで早く走ろうと意識するとオーバーストライド状態になって膝や股関節の痛みが増えてくるのと似ています。

↓ランニングのオーバーストライドに起因する足の痛みに関しても記事を書いています。

自分の体力に合った、適切な速度での泳ぎ方・フォームを突き詰めてゆけば、自然と痛みは減ってくるものだとも考えています。

とはいっても、せっかく行う運動ですからタイムを縮めたい気持ちはわかります。なので、しっかりと適切にケアを続けていただき、より長く水泳や運動を楽しんでいただければと思います。

当院では、様々な種目のスポーツ選手、愛好家の方のサポートをさせていただいております。小中学生からシニア年代、プロスポーツ選手まで多くの施術に関わってきました。

お身体の悩み事、ぜひご相談ください。

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