院でスポーツをする患者様の施術をしていると、夏に近づくにつれて、つりやすくなってくる方が多いと感じています。
『つり』 『こむら返り』 『筋けいれん』 などいろいろな呼び方で言われていますが運動中のつりに関しては
運動誘発性筋痙攣(EIMC)、運動関連筋痙攣(EAMC)という言葉があります。
最近のトピックを個人的にまとめました。(2024年4月23日に書いた記事です)
この記事を書いた人
長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※この記事は施術者として備忘録のようなスタンスで書いています。
また個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
筋けいれんの科学的研究
原因はまだよくわかっていないので、選手にあわせたサポートが必要
最近の研究の動向を見ていると
脱水や、電解質の枯渇、神経・筋の問題で起きているという風に、単一の原因で起きていると言う説や、それに派生した単一の予防法で筋けいれんを予防するというよりも、対象者個別の原因因子を深掘りして対策をうつのが有効という方向になって来ている様子です。
我々施術家としては、そういったことを踏まえ、クライアントの身体的特性(もともとのカラダの柔軟性、どこの筋が張りやすいか、今までにされた怪我の病歴など)から、クライアントにあわせた個別対応・アドバイスを行うことが大切と考えます。
つっている = 水分補給不足・電解質補給不足・ストレッチ不足と決めつけるのではなく、
クライアントの個別特性に合わせたサポート・アドバイスを行うことが大切
下の論文を参考にしました。
2022 ジョン・W・エヴァーズ=スミス
予防的ストレッチや柔軟性トレーニングがEAMCを予防できる証拠はほとんどない。
アスリート固有の問題因子を特定して介入する必要がある
Evers-Smith JW, Miller KC. Does Prophylactic Stretching Reduce the Occurrence of Exercise-Associated Muscle Cramping? A Critically Appraised Topic. J Sport Rehabil. 2023 Sep 27;33(1):49-52. doi: 10.1123/jsr.2022-0374. PMID: 37758261.
2022ケビン・c・ミラー
・病態生理学には議論の余地あり
・単一の原因ではなく複合的な原因で起こる
・急性の筋痙攣は症状消失まで静的ストレッチが効果的
・その後は患者固有の誘発因子に焦点を当てた対応が必要。患者固有の因子を明確にした予防法は一般的な水分摂取などよりも有効な可能性あり
Miller KC, McDermott BP, Yeargin SW, Fiol A, Schwellnus MP. An Evidence-Based Review of the Pathophysiology, Treatment, and Prevention of Exercise-Associated Muscle Cramps. J Athl Train. 2022 Jan 1;57(1):5-15. doi: 10.4085/1062-6050-0696.20. PMID: 34185846; PMCID: PMC8775277.
2020 スコット・R・ギャリソン
『筋けいれんを起こしている高齢者に対してマグネシウムは予防効果が低い。また妊婦に関しても更なる研究が必要』
Garrison SR, Korownyk CS, Kolber MR, Allan GM, Musini VM, Sekhon RK, Dugré N. Magnesium for skeletal muscle cramps. Cochrane Database Syst Rev. 2020 Sep 21;9(9):CD009402. doi: 10.1002/14651858.CD009402.pub3. PMID: 32956536; PMCID: PMC8094171.
2018 ガイア・ジュリアト
主に脱水または電解質枯渇によるものと神経筋のメカニズム
この二つが有力で、最近では神経筋メカニズム特に脊髄の関与が言われている様子
Giuriato G, Pedrinolla A, Schena F, Venturelli M. Muscle cramps: A comparison of the two-leading hypothesis. J Electromyogr Kinesiol. 2018 Aug;41:89-95. doi: 10.1016/j.jelekin.2018.05.006. Epub 2018 May 26. PMID: 29857264.
2019 ロナルド・J・モーハン
さまざまなメカニズムによって引き起こされるさまざまな種類のけいれんが存在すると考えらられる。予防や治療のための単一の戦略を探求しても成功する可能性は低い
Maughan RJ, Shirreffs SM. Muscle Cramping During Exercise: Causes, Solutions, and Questions Remaining. Sports Med. 2019 Dec;49(Suppl 2):115-124. doi: 10.1007/s40279-019-01162-1. PMID: 31696455; PMCID: PMC6901412.
何年か前にも、つり対策について時間をかけて調べたときことがありましたが、その時同様、原因がはっきりとはわかっていないという点では同じだと感じました。
原因がはっきりしないものに対しては対策を立てづらいのですが、
つっている状態であれば、
『対象の筋肉をストレッチする方向に持ってゆくことでつり状態から解除できる』
という事は経験上はっきりとわかっていますので、ストレッチを軸に、患者様、クライアント様にあわせた対応・アドバイスをしてゆきたいと思います。
スポーツ選手の場合、夏場にご相談が多くなってくるのは確かなので、水分の影響はあると思うんですが、そのあたりは今後の研究の進展に期待です!
お読みいただきありがとうございました!
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