オーバーストライドと足の痛みの関係について【ランニング障害】

カラダのこと 足(下肢)

オーバーストライドや重心のズレに起因するランナーの足の痛みは非常に多いです。

いろいろな症状の方がいらっしゃいますが、走り始めでカラダがランニングに慣れていない方を除くと、多くの方に共通しているのが市民ランナーとしてのレベルは結構高めの方が多い印象があります。

マラソンのタイム向上を目指してスピードを上げてゆくと、必然的に身体の前方で足を着くオーバーストライド状態になりやすくなります。

ランナーの足に起こる痛み・トラブルの多くは、オーバーストライドによる着地衝撃負荷の増加と、その方が持っている重心の位置や足のアライメントといった個人の特性が相まって生じるケースが多いと感じます。

今回の記事では、オーバーストライドとランニング特性による障害の関係を説明して行きたいと思います。

この記事を書いた人

長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)

柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。

※施術者としての個人的見解もかなり多く含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。また、筆者が記事作成時点で感じた内容を中心に書いていますので今後、考え方が変わる可能性もあります。

オーバーストライドについて

一流ランナーの足の軌道は、ほぼ同じ

オリンピックや世界陸上、日本選手権などトップクラスランナーのレースを見ていると選手の足の軌道はほぼ同じ軌道になります。

これは、効率的に早く走ることを突き詰めて行くと、だいたい同じ軌道になるということだと思います。

ある程度ランニング経験がある方であれば、オーバーストライドがカラダに良くないという話は聞いたことがあるかと思います。そしてオーバーストライドに対する言葉として使われるのが真下着地になります。

真下着地という言葉の意味は、足を身体の真下で地面につけるというよりも、身体の荷重が足にかかるその瞬間に足が身体の真下にあるという表現が適切だと思います。
(身体の前で足をついていても、荷重がかかるその瞬間に足が身体の真下にあればよいという事です。)

接地(着地)位置よりも、足に加わる力の方向が大切では

さらに、足をつく位置よりも、足に荷重がかかる瞬間に足に働く力がどちらの方向へ向かっているか?が大切だと思います。

空中に足をある程度前方に降り出して、後方に引き込みながら接地。ちょうど足が体の真下のあたりで足に荷重がかかり、そのまま後方へ送り出す 

野生動物の走りかたに学ぶ

野生動物がトップスピードで走る時はこのようになっています。これが真下着地という言葉の意味だと考えています。逆に、人間以外の動物でオーバーストライド状態で走る動物はいないと思います。

この、前方への振り出しと後方への引き込みはその方が走っているスピードに合わせて適切に行う必要があります。

一流のランナーはおそらくこのあたりが無意識にできている方が多いのではないでしょうか。
逆にオーバーストライドに起因する足の障害や故障の多いランナーの方は、荷重がかかるその瞬間にまだ足が前方へ向かう力がかかっているため、地面との衝突力が大きくなると考えられます。

なので、故障の多い方は、特にこの辺りを意識的に行ってゆく必要があると感じます。

実際の臨床では、上記のようなオーバーストライドに加え、重心の位置関係やもともとの足の形態により様々なトラブルが発生します。


以下にオーバーストライドと足の痛みの関係で多いものを挙げます。
今回は身体の重心に対する足の接地位置との関係を重点的に説明しています。

▽基本的にオーバーストライドで足が痛くなる時は、足の前面から横側にかけて痛みが発生します。

オーバーストライド+重心が外に行っている場合

まず、オーバーストライドに加え、重心が足に対して外側にズレているケースで痛くなる場合は
おしりの外、膝外側、太ももの前外側に痛みが発生しやすくなります。

痛みの起こりやすい部位

  • おしりの外側(股関節の外側)
  • ランナー膝(膝外側の痛み)
  • 太もも外側の痛み

一般的な症状名でいうとランナー膝(腸脛靭帯炎:ちょうけいじんたいえん)と呼ばれる症状もここに含まれます。

また膝のお皿の下部分の外側が痛くなることもあります。

このように、主に足の外側にトラブルが頻発する場合、上記の様な走り方になっている可能性があります。

対策例としては以下の通りになります。

対策例

▽着足の位置をほんの少し外にもってゆくこと、

▽片脚で接地したときに反対側の骨盤が落ちないように骨盤をキープする為の筋力トレーニングを行うこと

二つ目の、片足で接地したときの骨盤の安定化に関しては以前動画でご紹介したことがあります。

また、ふとももの外側で腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)と言う組織が痛くなる症状について以前作成した動画もあります。興味のある方は見てみてください。

オーバーストライド+重心が内側に行っている場合

次に、オーバーストライドに加え、重心が足に対して内側にズレているケースで痛くなる場所は
ひざや、太ももの前内側に痛みが発生しやすくなります。

痛みの起こりやすい部位

  • 鵞足炎
  • 膝内側の痛み
  • 太もも内側の痛み

鵞足炎(がそくえん)と呼ばれる膝の内側の痛みも、このタイプに含まれている可能性があります。

また、膝のお皿の下内側が痛くなることもありますし、太もも内側の筋肉がパンパンに張っている時も、この走りかたを疑います。

このケースの対策例としては以下のようになります。

対策例

▽着足の位置をほんの少し内側にもってゆくこと

▽着足した時の足部の角度が外に開きすぎている場合は修正する

以前、ふとももの前内側部が痛くなる症状について作成した動画もあります。ぜひご覧ください。

オーバーストライド+ねじり力が強い場合

三つめは重心のズレと言うよりも、膝に対するねじり力が強く作用しているケースです。

痛みの起こりやすい部位

  • 膝の下の痛み

走る時に、膝には必ずねじり力(回旋力)が加わります。誰でもねじる力はかかるのですが、速く走ろうと意識するあまり、蹴る力が強すぎると回旋力も強くなり痛みを発生しやすくなります。


さらにオーバーストライドが同時に発生しているケースでは、余計に痛みが発生しやすくなります。

膝がねじれると、まず痛くなりやすい部位が、膝のお皿の下にある膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)という部分になります。


この部分に痛みがある方は、たいてい膝から下の骨が外側にねじれています。

対策例としては以下のようになります。

対策例

▽足をまっすぐ着足してまっすぐ抜く(あまり蹴り過ぎない)というイメージが大切

▽股関節からまっすぐ上げてまっすぐ降ろすイメージを持つ

▽もともと膝がねじれている場合はねじれを解消する体操を行う(下記参照)

余談ですが、この回旋力が強いタイプの方は足のウラに胼胝(たこ)ができやすいという特徴もあります。

『足裏にたこがある、削っても削ってもまたできる』という方は、蹴る意識が強すぎるのかもしれません。

まとめ オーバーストライド+重心のズレで足が痛くなるケースは非常に多い

このようにランニングにおいて、オーバーストライドと足の痛みには深い関係があります。記事内で説明したものはオーバーストライドだけが原因ではないものもありますが、オーバーストライドについて考えることはランニングによる足の痛みを改善させるために大切な知識だと思います。

マラソンのトレーニングはとにかく量が多くなります。

一歩一歩の刺激は大したことなくても、何千回、何万回と繰り返すうちに大きな歪みとなり、痛みの発生につながります。

ほんの少しのカラダの使い方で、こういった部分は大きく変わってきますので、走りながら少しずつ試してみてください。このような身体に痛みが出ないような走り方を研究することも、マラソンやランニングの楽しみ方の一つですね。

長友芳之
長友芳之

私自身は速く走ることは全く得意ではありませんが。大好きなランニングをすこしでも長く続けるために、身体を痛めないで走る研究を日々行っております。
そういった研究の中から、ひとまずたどりついた結論が以上になります。施術者によって考え方に相違があるかと思いますが、一つの考え方として参考にしていただければ幸いです。

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