かかとが痛くて、自分で情報を調べると、足底腱膜炎・そくていけんまくえん(足底筋膜炎) と思う方は多いと思います。
足裏の踵の部分が痛くなるこの症状ですが、実際にそういった患者様の足を見てみると、実は足底腱膜以外の組織が痛みに関与しているケースもあります。
この記事を書いた人
長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
足底腱膜炎とは
足裏にある膜を足底腱膜(足底筋膜)と言います。図のピンク色の部分です。
踵の部分から指までついているため、歩行動作の中で負荷がかかり、踵の付着部のところで痛みを発生しやすいとされています。
長時間立っているお仕事の方や長い距離を歩く、走る方に多い症状です。
チェックしてみよう
このチェックはあくまで、慢性的に痛くなってきた方向けに書いています。ひねったり、ぶつけたり、高いところから飛び降りた際の踵の痛みに関しては適しませんのでご注意ください。
歩いて確認する
歩いてみて、どの段階で痛いかである程度症状に絞り込みをかける事が出来ます。当院で行っている評価方法は以下のようになります。
着地したその瞬間に痛い
踵をついたその時に痛いタイプ
足底腱膜の付着部が痛いタイプです。また、この場合は足底腱膜炎だけでなく、踵の部分のクッションになる脂肪組織の硬さなどが関わっている可能性もあります。
また、脂肪組織の下で神経の組織が癒着していたりすると、それはそれで痛いのでそういう症状の可能性もあります。
体重を乗せたときに痛い
かかとを着いてから、体重を乗せてゆくときに痛いタイプ
この場合は足底腱膜自体の柔軟性の低下に加え、足部のアーチの問題が絡んでいることが多い気がしています。
蹴り出しの時に痛い
もう一方の足を前方に出して、つま先で蹴り出すときに痛いタイプ
この場合は、足底腱膜自体の柔軟性の低下に加えて、足の裏の指を動かす筋肉が硬いことや、逆に筋肉が柔らかすぎることが関わっている可能性もあります。
足指の筋肉
このように、足底腱膜炎と一言で言っても色々な症状があるため、適切に早く治して行くためには、症状をよく見て判断して行く必要があります。
タイプ別治し方
以下に前述の三つのタイプ別の治し方をご紹介して行きたいと思います。当院ではこのような形で施術を進めることが多いです。
かかとを着いたときに痛いタイプは
かかとをついたその瞬間に痛いタイプの方には、まずはかかとの部分の脂肪組織を柔らかくすることから治療を始めていきます。
かかとの脂肪組織のほぐし方はこちらの動画で説明しています。(動画の7分12秒ごろから)
痛みが改善しないようであれば、足底腱膜の付着部のところで炎症が起きている可能性があるため、かかとの部分にクッションを当てることで一時的に痛みを和らげることができます。
また、ウォーキングやランニングを習慣にしている方の場合、クッションを入れるだけでは再発することがあります。
この場合、着地する時の足の衝撃が強すぎる可能性がありますので、動作解析を行ってなるべく衝撃のかからない歩き方・走りかたを取り入れていただくようにしています。
具体的には、足が本来着地した方がよい地点から前の方にズレている(オーバーストライドと呼ばれます)と、かかとの衝撃が強くなり痛みを起こす可能性が高くなりますので、適切な位置に着地できるようにして行く必要があります。
ちなみに筆者もランニングが趣味で、以前はよく踵の痛みに悩まされていました。いろいろ試した末に、上記のような着地位置の補正を行ってからはほとんど痛みは出ていません。
体重を乗せたときに痛いタイプ
体重を乗せたその瞬間に痛いタイプでは足底腱膜自体をほぐすことから始めます。
もみ方の一例
足のウラを手やゴルフボールを使用してほぐします。こちらのほぐし方についても冒頭の動画内で説明していますので是非ご覧ください。
次に足のアーチと言われるクッション構造がどのようになっているかを良く見るようにします。
アーチが低下したいわゆる偏平足の状態だと、こういった部分に痛みが発生しやすいので、もしそのような状態が観察されるときは、偏平足を改善するような筋肉を鍛えるようにします。
具体的には、タオルギャザーと言われるトレーニングを行なったり、足の細かい筋肉を適切に使えるように各種トレーニングを行います。
蹴り出しの時に痛いタイプ
蹴り出しの時に痛いタイプの方は、足裏の中でもとくに指につながる筋肉が硬くなりすぎていて、痛みの原因になっていることがあります。
まずは指を曲げる筋肉を柔らかくすると言うことを行ないます。※指のほぐし方も冒頭の動画にございます。
足の指を曲げる筋肉のストレッチ例
また、それとは逆に、足の筋肉のやわらかさが強すぎて痛いケースもあります。
蹴り出す時に足の剛性が足りず、かかとの部分で足底腱膜が伸ばされすぎて痛いというタイプの場合はほぐしすぎると余計に痛くなり逆効果になります。
なのでこの場合は、ほぐす・伸ばすというよりは、ふくらはぎや足裏の筋肉をしっかりさせるようにトレーニングを行っていただいたりする方が良いこともあります。
その方の身体の状態をよくみて、施術する必要があります
以上簡単にですが、足の裏・かかとの部分が痛い方への当院での対策についてお伝えして参りました。
一般的に行なわれる足底腱膜の治療
一般的には足底腱膜炎と診断されると以下のような治療をなされると思います。
休息とアイシング: 足を休め、痛みがある部分をアイシングすることで痛みを抑える
ストレッチとエクササイズ: 足底腱膜や足底腱膜に関係するふくらはぎの筋肉を柔らかくするためのストレッチを行う。
適切な靴の選択: かかとに適度なクッション性のある靴やインソールを使用することで衝撃を緩和する。
体重管理: 体重が増えると足底腱膜にかかる負担が増えるため。
物理療法: 電気治療やマッサージなど
薬物療法: 病院では痛み止めのお薬が処方されることもあるようです。
当院でもこういった科学的根拠のあるアプローチは重要と考えておりますので、身体が痛くなった時は、まずしっかりと病院に行っていただいて、各種検査を受けて、上に上げたようなベーシックな治療を受けていただくことをお勧めしています。
それで治る方はそれでいいですが、一定数治らない方がいらっしゃいます。
そういった場合はぜひ当院にお越しください。
病院と違い、レントゲンを撮ったり、薬を出したりはできませんが、その分患者様の症状を個別によく見て診療するように心がけています。
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