成長期の時期には、骨が急激に成長して伸びていくため、関節や骨に痛みを訴えるケースが多くなってきます。
スポーツをなさるお子さんでは特に負荷がかかるため、そういった痛みを起こしやすくなります。
ここではスポーツをなさるお子さんの関節周りの痛みに関して、今回は上半身の痛みに絞って説明してゆきます!
本記事の内容を動画にもしています。動画の方がよい方はこちらをご覧ください。↓
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この記事を書いた人
長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
なぜ痛くなるのか?
骨が成長するときには骨全体が伸びるわけではなく、主に成長軟骨という部分が伸びてゆきます。
成長軟骨というのは成長期までの方にだけある柔らかい軟骨の部分のことです。
この成長軟骨の部分が増えて、さらに通常の骨に変化することで、骨の形が長くなっていきます。
成長軟骨は全身あちこちにありますが、特に縦に長い骨の端の部分でよく見られます。
軟骨ですから、大人の骨よりも柔らかく、繰り返すストレスなどで痛みを発生しやすい部分です。
以下に代表的な痛みを上げていきます。
※成長軟骨は骨端線、成長線とも言われます。この記事では成長軟骨という言い方に統一しています。
肩
リトルリーガーズショルダー 上腕骨近位骨端線離開
肩が痛くなる症状です。
上腕骨という二の腕の骨の肩に近い部分の成長する軟骨の部分が損傷してしまう症状になります。
原因としては、成長期の投球スポーツの行いすぎ(主に野球)が挙げられます。
年代としては。10歳から16歳ぐらいまでに多いとされています。
レントゲンを撮って症状の具合をしっかりと把握した方がいい病態になりますので、もし投球スポーツをなさるお子さんが肩が痛いと言い続けている場合には、早めに整形外科に連れて行き診察を受けてください。
治し方としては適切な安静期間を取ったのちに、段階的に負荷を上げてゆくリハビリを行う必要があります。
肘 成長期の野球肘
名前のとおり野球、特にピッチャーをされているお子さんに起こる肘の痛みになります。
大人にも野球肘は起こりますが、成長期年代の野球肘と大人の野球肘では病態が違います。
そして成長期年代で起こる野球肘は特に注意が必要とされています。
投球動作は体に大きな負担がかかります。
ボールを振りかぶって投げるまでのあいだ、内側には牽引する力 外側には圧縮する力が加わります。
手のひらを上にした時の小指側が内側で、親指側が外側になります。
ボールをリリースした瞬間は肘が強く伸びますので、今度は後方に衝突するような力が加わります。
野球肘は、基本的にはこの3つの力で起こる症状になります。
どこに起こるかで対応が違いますので、注意深く観察して行く必要があります。以下に3つの代表的なパターンを説明します。
内側で起こる場合
内側で起こる場合は、投球時に振りかぶってボールを投げる瞬間までに、肘の内側に強い牽引力が加わることが主な原因となります。
一度の投球で急に痛くなる場合や、徐々に痛くなってくる場合などがあり、内側の部分の成長軟骨がはがれてしまうケースや、成長軟骨が骨からずれてしまうケース、そこまでは行っていないけれど成長軟骨自体に炎症がおこり痛みを発生しているケースなどがあります。
整形外科で診断を受けて、適切な安静期間の後、段階的にリハビリを進めてゆくことが必要です。
外側で起こる場合
外側で起こる場合は、これも振りかぶってボールを投げるまでの時期で、肘の外側に圧迫・回旋力が加わることが主な原因となります。
成長期野球肘の中でも特に重症化する可能性があるので、最も気を付けなければならないとされています。
自覚症状がそこまでないケースもあり、気が付いたら進行しているという事もあるとされますので、少しでも違和感がある場合はすぐに整形外科を受診しましょう。
また、医療機関が実施している野球肘予防検診などがある場合はぜひ参加することをおすすめいたします。
外側の野球肘は特に注意する必要がある 早期発見・早期治療が大切
後方で起こる場合
後方で起こる場合は、投球動作の中でボールを投げ終わったあとのフォロースルー期に、肘に伸びる力が加わり、そのために肘の後方の成長軟骨部分が痛みを発生することがあります。
この場合も適切な安静期間の後、段階的にリハビリをすすめてゆく必要があります。
どのパターンでも無理に我慢してプレーを続けたりすると、長期にわたりプレーに支障が出る可能性が高いので、早めの診断が必要です。
投球スポーツをするお子さんが肘を痛がった場合は、早めに整形外科に連れて行き、診察を受けてください。
投球スポーツをしているお子さんが、肘を痛がった場合は早めに整形外科を受診する
手関節~甲の部分
成長期年代では、手の骨にも成長軟骨が数多くあります。イラストの緑色の部分は成長軟骨です。
また、手首の部分には手根骨という8個の骨がありますが子供の手のレントゲン写真には、この手根骨があったりなかったりします。
これは年齢によって徐々に発生してくる骨で、それまでは軟骨だからです。
手根骨の軟骨がすべて大人の骨になるまでのは16歳ころとも言われています。
つまり、それまでは柔らかい軟骨の状態で運動を行なっているわけです。
手の甲の部分も同様で、特に拳のナックル部分は成長軟骨が多くあります。
ボクシングや空手など、拳を使うスポーツではこの部分に痛みを発生する可能性があります。
また、直接拳を使わない競技でも、投球スポーツでボールを投げたりするときにこういった成長軟骨部分に負荷がかかり痛みが発生することは考えられます。
他にも、各種体操競技やフリークライミングなど、手を多く使うようなスポーツを本格的に行っていると、こういった部分に痛みが発生することは少なくないです。
いずれにせよ、痛みは続くときは早めに整形外科で診察をしてもらって、適切な安静期間を取ったのちに段階的にリハビリを行ってゆくことが理想です。
成長期スポーツ選手は関節の周囲に痛みが出やすい
ここでは代表的なものをいくつか挙げさせていただきましたが、このほかにも骨が成長する軟骨の部分では、どこでも痛みが発生する可能性があります。
大切なことは、お子様のカラダにはそういった痛みが起こる可能性があるということを念頭において、少しでも問題がありそうであれば、早めに整形外科に連れて行き、診察をしていただくことです。
成長期のスポーツ選手が関節周りを痛がった時は、早めに整形外科で診察を受ける
整形外科の診察を受けていただいて、レントゲンやエコー・MRIなどの画像診断で何も問題がないと診断されたにもかかわらず、痛みが続いているケースがあります。
このような場合、考えられることとしては、筋肉や腱など関節周辺の軟部組織が痛みを発生していることがあります。
これらの症状は画像診断には映らないことが多いため、見過ごされてしまう可能性があります。
接骨院・整骨院では、レントゲン検査や手術・注射などの医療行為はできませんが、その代わり患者様のカラダの状態を目で見て、触れて、動かす検査をこまかく行う事で診察をしていきますので、そういった画像診断に出てこないような症状の治療も適切に行なえる可能性があります。
もしお子さんが関節周囲の痛みを訴えられて、病院に行ったのだけれども、何も問題がないと言われ、まだ症状が残存している場合はぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。
筆者は日本スポーツ協会・日本アスレティックトレーニング学会に所属し、なるべく最新の知見に基づいた施術を行うよう心がけていますので、ぜひご相談ください。
参考文献・サイトなど
『骨の成長・発達』上田晃三、清野佳紀 2008
『野球肘の症状と治療法』船橋整形外科様HPより
『手根骨の骨化について』fujinami k 1911
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施術のご相談に関しては直接、院へお願いいたします。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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