この記事を書いた人

長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
水泳肩について
水泳を行う方で、肩が痛い方は多いです。
多くは肩関節の部分で、骨と骨がぶつかるようになり、そこに筋肉の腱などが挟み込まれる(インピンジされる)ことで起きる症状だとされています。
水泳肩に対するリハビリの研究はそれほど多くありませんので、リハビリにおいては患者さま一人一人で違う症状に合わせてリハビリを試行錯誤しています。
以下に当院で経験した水泳肩の症例に関して、クロールのリカバリー時に肩が痛いケースに絞って書いてゆきます。
クロールのリカバリーで痛い時に考えられること

クロールのリカバリーの時に肩の上方に痛みがあるケースは比較的多いです。
この場合、肩甲骨の肩峰という部分と上腕骨の骨頭の部分で衝突 (インピンジメント)が発生している事が考えられます。
ぶつかってしまう原因として多いのは以下の3つだと考えています。
▽肩甲骨の動きに問題がある
▽胸郭の柔軟性が低下している
▽肩関節自体の問題
以下にそれぞれを解説してゆきます。
肩甲骨の動きに問題があるケース
肩甲骨の動きに問題があるケースの中でもいくつかのパターンがあると考えています。
筋肉が原因の硬さがあって肩甲骨が動かない
肩甲骨の周囲についている筋肉が硬くなることで肩甲骨の動きを制限してしまうことがあります。

例として、広背筋(こうはいきん)と言う筋肉があります。四泳法すべてで推進力のメインとなる筋肉です。
この広背筋は腰、骨盤といった体幹部の骨から始まり、上腕骨と言う腕の骨までついています。
その途中、一部の繊維が肩甲骨の外側に付着しているとされますので、この筋肉の硬さによって肩甲骨の動きが硬くなってしまう事があります。
他にも、硬さの原因となる筋肉はいろいろあって、大胸筋や大円筋、前鋸筋と言った筋肉の硬さも関わってくることが多いですが、ここでは省略します。
筋肉が原因で肩甲骨が動かない場合は、まずは硬くなっている筋肉をもみほぐしたり、ストレッチすることで柔らかくすることが解決策となります。

↑筋肉に対する手技例
鎖骨周辺の動きが悪くて肩甲骨が動かない

肩甲骨と体幹をつなぐ鎖骨の柔軟性も大切です。
鎖骨の両端の関節の動きが低下すると結果的に肩甲骨の動きが低下します。
この場合は、筋肉のストレッチの前に、動きの低下している鎖骨の動きを出した方が効果が出やすくなります。
簡単な操作で鎖骨の動きは柔らかくすることが出来ます。

見かけ上問題がないが、肩甲骨の動きの質が低下しているケース
見た目では肩甲骨の動きが悪くなくても、動きの質が低下していることがあります。
専門的には上方回旋、下方回旋と言う動きに関わる問題です。

肩甲骨は肩の動きに合わせて回転(回旋)します。
左側↖が肩甲骨の正常な回転(回旋)の動きで、骨のぶつかりは発生していません。
対して、↗は回転(回旋)の動きが足りていませんので、骨がぶつかりやすくなります。
ケースとしては、僧帽筋(そうぼうきん)と言う上方回旋を行いながら肩甲骨を引き上げる筋肉の代わりに、肩甲挙筋(けんこうきょきん)という下方回旋を行いながら肩甲骨を引き上げる筋肉が硬くなりすぎてしまい、僧帽筋の働きが消されてしまった結果、上方回旋の動きがうまく行えなくなっているケースがあります。
この場合、一見肩甲骨は動いているので問題がないように見えるのですが、動き方が正常でないので、肩関節は衝突を発生して痛くなることがあります。

対策として、過緊張状態になっている肩甲挙筋をリラックスさせて、正常な動きにする必要があります。
もみほぐしたり、リズミカルに動かしたりする手技を行って肩甲挙筋の緊張を落とし、そのうえで使われなくなっている僧帽筋の収縮を引き出す訓練をおこなったりします。
胸郭の可動性に問題があるケース
クロールや背泳ぎではカラダをローリングさせて進みますので、胸郭のねじる方向の可動性はとても大切です。

胸郭とは、肋骨と背骨でできたこの部分(↑)を言います。
通常は、この部分がうまくひねるようにできていますが、疲労、加齢による変化などにより、徐々に胸郭の可動性は低下する傾向にあります。
胸郭が動きづらくなれば、必然的にその部分以外(肩や、腰)をたくさん使うようになり、結果として肩に痛みがでてくるというわけです。
胸郭の動きが低下している場合は、ストレッチを行うのがお勧めです。

また、胸郭の動きは必ず呼吸とセットになっていますので、ストレッチの際は普段より呼吸を意識して、ゆっくり呼吸を行う事が大切です。
当院では呼吸に対する介入も積極的に行なっています。
肩関節自体の問題

繰り返す衝突ストレスにより、インナーマッスルの腱が硬くなったり、変性してしまってうまく使えなくなることもあります。
関節の間にある、滑液包と言う組織が炎症をおこして硬くなることもあります。
肩のインナーマッスルが使えなくなった結果、アウターマッスルが過剰に働き、周囲の組織との動きがわるくなり、神経を挟み込んで痛みを発生することもあります。
肩甲骨の動き、胸郭の動きに問題がなくても、このように患部の周囲が直接硬くなっていると、痛みの原因となります。
この場合は、対象の組織を良くもみほぐすことで、周りとの動きが改善されることが多いです。
まとめ
いかがでしょうか?
私もまだまだ水泳肩のリハビリは未熟者ですが、日々の診療の中で、クロールのリカバリー時に肩が痛いタイプの方には上記のようなカラダの特徴があるのではないかと感じています。
水泳のコーチではないので、泳ぎ方に対してはアドバイスはできません。
ですが、カラダに起きていることを的確に判断してお伝えすることで、ご自身で泳ぎ方のフォームを少し変えていただいたりですとか、ケアの方法を考えていただくことができると思っています。
もし、水泳の肩の痛みでお困りの方は、ぜひご相談ください。
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