今回はジャンパー膝と呼ばれる膝の前側の症状に関して、実際に接骨院で患者さんに施術していて思うことをお伝えしてゆきます!
施術者としての個人的な意見も含んだ内容ですので、ご理解の上お読みください
ジャンパー膝について
バレーボールやバスケットボールを中心とした、ジャンプ動作を頻繁に行うスポーツで
膝の前側の部分が痛いと訴えられる方は少なくないです。
お皿の骨の下の部分が、太もも前側の筋肉の牽引によって痛みが出る症状です。
ジャンパー膝についての一般的な説明(原因・対策など)は他サイトで多く出ていますので、
【ジャンパー膝 原因】などで御検索いただくとよいです。ここでは簡単に説明させていただきます!
原因
・太ももの前側の筋肉の柔軟性低下
・成長期で骨が成長するスピードに筋肉の成長が追い付いていない
・練習のし過ぎなど、オーバートレーニングに起因するもの
・練習環境の変化
などが原因とされています。
特に原因として重要なのは
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という
ふともも前側の筋肉の硬さ
とされています。
成長期は骨の伸びるスピードが早く
周りの筋肉がそれに追いつかず
柔軟性が低下する傾向があります
改善策
炎症がある時期は、
- アイシング
- 練習量・運動量を減らす
- 大腿四頭筋(ふともも前側)を中心としたストレッチの実施
炎症が落ち着いてきたら
- ストレッチの継続
- 様子を見つつ練習復帰
という具合で復帰してゆくケースが多いです。
大切なことは、まずはしっかりと病院でレントゲン検査などを受けて、そこから計画的にリハビリを進めてゆく事です。
自分でジャンパー膝だと思っていても、実際には違う症状のこともありますので、
一度病院で見ていただいた方が良いです。
一般的にはこのような改善策が良いとされています。
当院で実際に診療していて思う事
ここからは当院で行っている取り組みをお伝えしてゆきます。
一般的に推奨されているストレッチや運動量の調整を行ってもなかなか改善しないというケース
では、以下のような取り組みも選択肢の一つになりますが、科学的根拠に乏しい部分はあります。
今まで施術させていただいたケースで、ひざの前側に痛みを訴えられる患者様の共通点として、
股関節と足首の硬さがあります。
これは、股関節や足首をうまく使えている選手に比べて、
それらの関節が硬い選手は、ジャンプの着地動作の際にひざの関節だけで力を受け止めるような形になっているためと考えられます。
そのような選手たちに、股関節と足首の柔らかさを改善させるようなプログラムを行ってもらうと、
期間に差はありますが概ね良好な施術結果を得られています。
それぞれすこし説明すると
股関節の硬さについて
股関節に関しては、治療ベッド上でストレッチをしているときはそこまで硬さを感じないのですが、
スクワットの動作をしていただいたときにうまくお尻をうしろに引けない選手が痛くなりやすい傾向がありました。
あまり良くないスクワット動作の例
スクワット動作で
- おしりを引くようにして股関節をしっかり使うようにする
- 膝がつま先よりも出すぎないようにする
というポイントは多くの方が意識されていると思いますが、知っていても実際にその動作が出来ているかは別の話です。
こういった基本動作をきちんと行ってゆくことが大切です。
良いスクワット動作の例
また、ハーフスクワットくらいの深さまでならキレイなフォームできていても、
さらにそこからフルスクワット(一番下まで)の位置まで深くしゃがみ込むようにすると
下の図のように腰が丸まってしまう方がいらっしゃいます。
こういう方は
股関節とそれを取り巻く筋肉【臀部の筋肉やハムストリングなど】が硬い可能性があります。
このような場合は、ハムストリングや殿筋の柔軟性を改善させるエクササイズを行っていただき、
柔軟性を高めてゆく事でフォームが改善してくることがあります。
ハムストリングの柔軟性を出すためのエクササイズ例
↑上の図は、壁におしりをつけた状態から、上半身を前に倒すことで太ももの後ろ側【ハムストリング】を伸ばすエクササイズです。
①股関節を支点にして
②腰を丸めない
ことが重要なエクササイズです!
カラダの硬い選手や患者様は、このような動きが苦手なケースが多いのです。
上記のエクササイズはあくまでも一つの例です。
ハムストリングの柔軟性を向上させる種目は他にもあります。
足首の硬さ
足首に関してですが、つま先を上に持ってくる 背屈(はいくつ) と言う動きが硬い方が多いです。
スクワット動作の時に足首が固いと、十分にしゃがむことができず後ろに倒れるような形になってしまいます。
以前は、このような方にはかかとの下に板を引くことによって重心を前に持っていきそれによって
後方に倒れにくくしてスクワットをしていただいてた時期もあります。
ですが、この方法だと足首の可動性が出ていないのに、
スクワット動作がしっかりと出来ているような錯覚に陥ってしまいますので、現在はこのような選手には、足首の背屈可動域をしっかり出すようなメニューを行ってもらうようにしています。
足首の背屈可動性を出すストレッチ
特に変わったことをする必要はなく、基本的なふくらはぎのストレッチをしっかりと行ってゆくことが大切です。
こういったストレッチで改善してこない場合は、筋肉の硬さではなく関節に問題があったりすることもあります。
以前、ブログで足首の硬さに関して書いたことがありますので、興味のある方がこちらをお読みください。https://ameblo.jp/nagatomo-sekkotu/entry-12785851207.html
自分でできる事
自分でできる改善策についてです。
ジャンパー膝などの症状で見える方に共通する状態として、カラダ全体の柔軟性が低下している方が多い印象です。
なので、柔軟性を改善したうえで、スクワット動作などを見直してゆくとよいと考えています。
柔軟性が低下している理由にはいくつか原因が考えられます。
- 成長期で骨の成長に伴い筋肉の硬さが増しているケース
- もともと体質的に硬いケース
- 疲労により筋が硬くなっているケース【仕事や練習量が多い】
と人によって原因は様々です。
1成長期の場合と、2体質的に硬いケースは、ある程度仕方ない部分がありますが、
あきらめずにしっかりストレッチを継続することで柔軟性は少しずつですが改善してゆきます。
3の疲労により柔軟性が低下しているケースは、運動量の調整やセルフケアなどでかなり改善が可能です。
おすすめのストレッチメニューを動画にしてあります。
コチラの動画、タイトルはランニング後のストレッチとなっていますが、
他のスポーツにも流用できますので、ぜひご覧ください!
ストレッチを行う時は、痛い関節の周囲ばかり行いがちですが、カラダというのは全体のバランスが大切ですので、時間が許す方はなるべく全体をバランス良く行った方が効果が出やすいと感じます。
まとめ
- 股関節と足関節の使い方や、可動域に問題のあるケースがあります
- スクワット動作でしっかりと股関節、膝関節、足関節をバランスよく使う事が大切
- 柔軟性が低下している人はしっかりとストレッチをした方が良い
いかがでしたでしょうか?
院で施術の仕事をしていると、色々な患者様が見えます。
当院では、基本的に科学的根拠に基づいて施術を提供するように意識はしていますが、
実際の臨床の現場では科学的根拠どおり、ガイドラインどおりに行なっても、改善しない方が一定数いらっしゃいます。
そういった悩みの中で感じた事、効果のあることもそうでないものも、両方こういった場で情報発信してゆきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
今回このブログ記事を書くにあたり、論文検索しました結果、
「股関節と足首の動きはジャンパー膝と呼ばれるこの症状と関連があるらしい」と言う論文がいくつか見つかりました。
今後さらに研究がすすんでゆくことと思います。
ブログの他にもYOUTUBE動画やホームページで情報発信しております。
アクセス・施術料金など詳細はホームページでご確認いただけます。
コメント