シンスプリントはランニング動作などを多く行うスポーツ選手に多く発生するスネ内側の痛みです。
今回はシンスプリントでスネの痛みを訴えていらした方に対するリハビリの例をご紹介します。
シンスプリントでお悩みの方はぜひご覧ください。
この記事を書いた人
長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・JSPO-AT
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
シンスプリントとは
陸上競技やサッカー・バスケットボールなどの走る事が多い種目で、使い過ぎによってスネの内側の部分が痛くなる症状です。
当院で今まで対応させていただいたケースの多くは、中学から高校生年代のスポーツ選手が多いです。大人でなる方の場合はほとんどが日常的にランニングをされる方でした。
運動量や走行フォーム・路面の状況・シューズの不適合などが関わるとされ、もともとその方が持っている形態的な問題や柔軟性の低下など様々な要因も関与して発症します。
シンスプリントについての基本的な説明については他のサイトが参考になりますので、そちらをご参照ください。
日本スポーツ整形外科学会 シンスプリントについてhttps://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s15.pdf
ザムスト公式ページ シンスプリントについてhttps://www.zamst.jp/tetsujin/thigh_calf_shin/shinsplint
ここではそういった基本的なことを踏まえた上でのリハビリの実際の方法を1つご紹介したいと思います。
注意点として、よく似た症状にスネの骨の疲労骨折がありますので、その鑑別は必要です。
この記事は整形外科での検査を受けて、疲労骨折などの骨の問題は無いと言う診断を受けていると言う前提のもと進めています。
施術の流れ
シンスプリントでいらっしゃる方は、主に学生年代の方が多いので、今回も学生年代の陸上部の方を想定したメニューで御伝えしています。
大人の方に施術するときも基本的な考え方は同じなので、参考になると思います。
①問診
まず 年齢・運動歴・運動種目・練習の量・痛みの出るシーンの確認 をなるべく細かく聞いてゆきます。
同じ 走ると痛い という症状でも、着地して体重をかける乗り込みの時に痛いのか、蹴り出しで痛いのかなどによって微妙にリハビリのメニューが変わってくるためです。
また、今後の大会の予定などを聞いておくことも重要です。どうしても出場したい大会が何月にあるのかなどを確認します。
②状態のチェック
まずは立位での姿勢や足の形のチェックを行います。
この時に足首が内側に倒れている『回内足』という状態だと足の内側の組織に負担がかかりやすく、シンスプリントになりやすいとされています。
必要に応じて写真にとらせていただいたり、足の型を取らせてもらうこともあります。
足のアーチと呼ばれるクッション機能が低下している偏平足の状態も、シンスプリントに関わるとされていますのでチェックします。
こういった評価はなるべく写真や動画に収め、必要に応じて患者様にも診ていただき一緒に状態を確認してもらっています。
上記のような形態的な特徴があっても、それがシンスプリントの症状につながっているとは断定できないので、あくまで施術の参考として特徴を把握していきます
③動いてもらって評価
つぎに、実際に動いてもらう評価をしていきます。
簡単なものとしては、その場で足踏みをしていただいたり、駆け足をしてもらうテストがあります。
これは実際のスポーツ動作からするとかなり負荷の軽い動作ですので、その場足踏みや駆け足で痛みが発現するような状態というのは、シンスプリントの中でも比較的症状が重いと考えます。
なのでこの場合は、まずは患部の炎症を引かせるために、安静期間をしっかりと取ることが大切です。
日常生活や、その場足踏み、駆け足などで痛みが発生する状態は、シンスプリントの炎症が強い時期と考えられるので、基本的には運動量を落としたり、安静期間が必要になる
当院に来院されるケースでは多くの選手は、足踏みやその場駆け足では痛みが出ないことが多いので、さらに強度を上げてラダーやマーカーコーンなどを使ったジャンプ動作を行っていただいて、痛みがどういった出方をするのかを確認して行きます。
イラスト左のラダーで痛みがなくても、イラスト右のマーカーコーンを飛び越えるような動きをすると負荷が上がりますので、痛みを確認することができます。
ラダーやマーカーを使った検査で痛みが出る状態は、我慢すれば運動できてしまう状態とも言えますので、注意深くリハビリをしてゆきます。
④触診で関節や筋肉の状態をチェック
次に筋肉の柔軟性や、関節の硬さを測っていきます。
シンスプリントの場合は主に腰から下の部位が中心になりますが必要に応じて上半身もチェックすることがあります。
もともと成長期は骨の伸びるペースに筋腱が追い付いていない時期です。さらに運動する方ではさらに筋肉の硬さが出ているのが普通ですから大人よりも硬い状態なのが普通です。
なので、筋が硬いのはある程度問題ないのですが、前後や左右のバランスに差があると症状につながる可能性があるので、そういった前後左右バランスはよくチェックするようにします。
例えば『ももウラの筋に張りが強くて、もも前の筋にはそこまで張り感がない』などそういった部分を確認していきます。
下肢の症状がある方に多いケースとしては、ふとももの前後の柔軟性のバランスが悪いとか、お尻の部分だけ硬いとか、ふくらはぎの下部が硬くて足首の動きが悪いなどの状態があります。
身体の各部位の硬さや動きのバランスを重点的に診るようにしています
評価にもとづき施術
上記のような各種の検査で得られた情報から、その方の症状に一番関連してそうなものをピックアップして対策を立ててゆきます。
使い過ぎによっておこる症状なので、基本的には運動量の調整が必要なケースが多いですが、今回はそれ以外にできる事の例をご紹介します。
例として『全体の姿勢が後方に移動していて』『足が内側に入る回内足』があり、実際に触ってみると『ふくらはぎの下の部分のヒラメ筋に特に硬さがある』方がいらっしゃったとします。
この方に対する施術としては以下の流れのような形になります。
例①硬い筋のほぐし・ストレッチ
このような方には、まずは硬い部分に対して手でもみほぐす手技をかけて、さらにストレッチを行う事で痛みの変化をみます。
これだけで痛みの変化があるケースもありますが、それはまれなケースです。
例②回内足の補正テーピング
次に足にテーピングを巻いて足が内側に入ってしまう回内足を矯正してみます。
回内足の補正テーピング例
そのうえで先ほど行った痛みの出るような動作をおこなってもらい痛みの変化をみます。
完全に痛みがとれなくても、少し変化があるかどうかを確認することが大切です。
例③骨盤から足のアライメント調整
更に、体の重心位置を少し調整するような手技を骨盤周りに行い、前後のバランスを調整し、再度痛みの変化を確認します。
先ほどの二つの対策で効果を感じなくても、この姿勢の調整で変化が出る方もいらっしゃいます。
骨盤と足は連動して動くためです。
このようにして何が痛みに変化を及ぼすのかを確認してゆきます。
一度に全部行うのではなく、すこしずつ行ってゆくことで、施術者も患者さんも、何が問題だったのかを把握できます
このようにして痛みの改善に効果のある操作を確認出来たら、その状態をなるべく自分でも作れるように、ご自宅で行っていただくストレッチやトレーニング、テーピングの方法を御伝えするようにしています。
例④負荷を上げてトレーニングする
上記の様な取り組みで症状の改善へ道筋が立てられたら、少しずつ負荷をかけていくトレーニングを院内で行っていきます。
基本的に使い過ぎの症状は、一度の施術で全部治すことはできません。
院内で痛みがとれても、ふだんの練習で痛みが出ることもありますので、そういった変化を次回来院時に確認して、メニューの調整を行います。
前述したラダーやマーカーコーンを利用した動作が痛みなく行えるようになったら、動作に高さを加えるためにミニハードルを飛び越えるようなトレーニングを行い負荷量を上げてゆきます。
片足で行ってもらうと、ほとんどのケースで患側の方がうまく着地ができませんので、その点を改善していくようにトレーニングを行っていきます。
片脚ジャンプはいろいろな要素が関わりますので、スポーツ選手のリハビリの際には良く行います。
シンスプリントに限らず、スポーツ選手向けのリハビリの基本は、リスク管理をしながら段階的に負荷を上げると言うことです。
この段階的な負荷の上げ方は色々ありますので、患者様に合わせてさせていただいております。
来院回数に関しては、お近くの方の場合はなるべく頻繁に来ていただくように御伝えすることが多いですが、すこし遠くの方の場合は、週に1度や2週間に1度など、無理のない通院ペースでお願いしています。
限られた時間の中で行いますので、一度にすべての検査や手技を行う事はできませんが、その方の症状に関与が多きそうなものから順番に一つずつ行う事で、患者様にも効果を感じてもらえますし、そのあとのセルフケア指導に移行しやすくなります。
シンスプリントは成長期年代の方が多いので、セルフケア指導が特に大切だと思います。
このように施術メニューを行う事で多くの方がスポーツ復帰されています。
シンスプリントでお悩みの方はぜひご相談ください!
ご来院前に整形外科の診察を受けて、疲労骨折がないか確認していただいた方がスムーズです。
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ぜひご覧ください。
※下にリンクがあります。
施術のご相談に関しては直接、院へお願いいたします。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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