今回は足首の関節をねんざした後に不安定感が残っているケースについて紹介します。
足関節ねんざは全ての外傷のなかでもかなり多いとされています。当院でも、年間何例もいらっしゃる大変多い怪我です。
きちんと段階的に治療をすればしっかり治ってゆくものですが、中には何度も繰り返してしまう方や、なかなか痛みの引かない方がいらっしゃいます。
今回はそういった足首の捻挫後に不安定感が残っていたり痛みが残っているケースについて、当院での取り組みの一例をご紹介いたします。
この記事を書いた人
長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
柔道整復師・日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
※施術者としての個人的見解も若干含んだ内容ですので、お読みになる際はご留意ください。
まず靭帯がどういう状態になっているのかチェック

足首の捻挫で問題になる靭帯は大まかに 前側 外側 内側にあります。
このうちどれが緩かったりしても足首の不安感につながります。
特に以下の三つは臨床上よく傷める部分ですので、足首ねんざ後の不安定感がある方が見えた際に当院では重点的にチェックするようにしています。
前距腓靭帯 ぜんきょひじんたい

外くるぶしの骨とその下にある骨を固定している靭帯です。
一般的にいう足首の捻挫ではほとんどのケースで、この靭帯を痛めるとされています。
足を内側にひねる、内反(ないはん)という動きをして、外くるぶしの前側が痛い時はこの靭帯損傷を疑います。

痛めてから時間が経過している場合は、痛みはなく不安定性だけ残っていることがあります。
その場合、上記の動きを行うと不安感があったり、仰向けや長坐位で踵を地面につけて座ると足の骨が前方にぬけるような違和感が出る事があります。

靭帯が完全に切れてしまったものをリハビリで回復させることはできませんので、あくまでも保存療法の中でできるものをここでは説明してゆきます。もし完全に切れてしまったものを元通りにくっつけたい場合は足の専門病院で相談しましょう。
前脛腓靭帯 ぜんけいひじんたい

外くるぶしの前方とその内側の骨を結ぶ靭帯です。上の前距腓靭帯を痛める時に、一緒に痛めるケースがあります。
この靭帯に問題があると、足首を以下のイラストのように上に上げてかつ外に返すような動きをした時に、痛みが発生することがあります。

三角靭帯 さんかくじんたい

内くるぶしの脛骨とその下の距骨、踵骨を結ぶ靭帯です。こちらに問題があると、歩くときに足に荷重をかける動作だけでも痛かったりします。

まずはこういった靭帯部に押したときの痛みや伸ばしたときの痛みがないかどうかを丁寧に診てゆきます。
靭帯に問題があると患者様が訴えられても、実は筋肉の問題だったりするケースも多いので、このようにどこの組織が痛みや違和感の原因になっているかを判別することがまずは大切です。
リハビリの実際
上記のようなチェックを行い、靭帯に問題がない場合は、周囲の筋肉の問題が考えられますので、動き方の改善や筋力トレーニングを行ってゆきます。
炎症が残っている時は再固定も視野に
靭帯の部分にまだ炎症が残っていたりする場合は状況にあわせて再度固定などを行うこともあります。

固定をして炎症を落ち着かせることで、次の段階へ移りやすくするためです。
どこの部位のリハビリでもそうですが、炎症がある状況で患部を強くすることは難しいので、その場合はまず炎症を引かせることが第一の目標になります。
動かしても問題なければ簡単なトレーニングから開始
炎症がなく、動かしても大丈夫な状態であれば、徐々に足の周囲を安定させる筋肉をトレーニングしてゆきます。

↑のようなトレーニングが代表的です。
チューブがない時はタオルを足の指でたぐり寄せるタオルギャザーというトレーニングから行うとよいでしょう。
特別な器具がなくても行えるため、当院でも一番最初に行うトレーニングにはこちらをご指導することが多いです。

ただし、こういった簡単なトレーニングは日常生活動作やスポーツの動作を考えると負荷(強度)が足りません。
そこで、以下のようなトレーニングで徐々に負荷を上げて、日常生活やスポーツ動作に役立つようにしてゆきます。
レベルアップ 立ってタオルギャザーを行う
タオルギャザーなどの足指のトレーニングを、立って行うだけでより実践的な負荷をかける事が出来ます。

座って行っている時にうまくできても、立ったとたんうまくつかめないという方も多いです。
このように荷重した状態でトレーニングを行うことがとても重要です。
更にレベルアップ 片足立ち保持
捻挫の予防で必要な筋力は、足首を大きく動かす動きではなく、足がぐらつきそうになった瞬間、反射的に踏ん張る力です。この力がないので、足首ねんざ後に不安定感が発生しているとも考える事ができます。

こういったことを考えると、↖チューブトレーニングのように可動域をいっぱいに動かすトレーニングを行っているだけでは不十分です。
特に、いつまでたっても足首に不安感が残っている場合などは、こういった部分をしっかりと強化してゆくことが必要です。
当院では、片足立ちの保持を基本としてメニューを組んでゆきます。
あくまでも当院で行っている内容なので、他の方法が間違っているというわけではありません。

スポーツ選手なら簡単にできそうな動作ですが、足首周りの感覚が低下している選手はこういった簡単な動作もできないことがあります。
これができない状態でスポーツ復帰している方は、再発リスクが非常に高いと言わざる負えません。
更にレベルアップ 片足立ちに変化をつけて
慣れてきたら片脚立ちもバリエーションをつけてゆきます。
以下のように膝と肘を近づけるトレーニングはニートゥエルボーと呼びます。
こういったトレーニングは通常の片足立ちよりも不安定になり負荷が増します。

このようなトレーニングを行うことでより足首周りに安定性がでてきます。
さらに慣れてきたら、バランスマットやバランスディスク上でも行えるようにします。

このようなトレーニングを行う事で、足首周りの筋肉をスポーツ動作に適した状態にうまく鍛えることが出来ます。
競技種目に合わせた負荷の強いメニュー
足関節ねんざの後の不安定感からスポーツ復帰を目指している場合は、上記のようなトレーニングを行って最低限の安定性がついてから、競技種目に合わせた負荷の強いメニューに移行します。
そして、無事に復帰できた後も、身体の調整を兼ねて週に何度かは上記のようなトレーニングを行うことをお勧めいたします。
当院では、競技種目に合わせてオーダーメイドでトレーニングメニューを御伝えするように心がけています。
このように段階的にカラダに負荷をかける事で、患部の強化と、周囲との協調性を高めることができます。
当院ではこういった実践的な動作の中で機能を回復させることを目指してリハビリを行っています。
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