腱板損傷、インピンジメント症候群、四十肩・五十肩など、肩の痛みにまつわる症状にはさまざまなものがあります。
今回は個別の症例解説ではなく、肩関節の痛みを改善させるための「基本的な考え方と動かし方のコツ」についてお話しします。
この記事を書いた人

長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
JSPO日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー・柔道整復師
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
『ただ痛みを和らげるだけでなく、その方の職業・動作・競技特性を考慮して目標達成のお手伝いをさせていただいております。』
※普段は科学的根拠に基づいた施術・情報発信を心がけていますが、
今回の記事は、施術者としての経験に基づいた見解がメインです。
痛いときは「安静」、痛みが引いたら「動かす」が原則

まず結論から申し上げますと、肩関節を痛めた場合、「痛みが強いうちは無理をせず安静にし、痛みが落ち着いてからゆっくり動かしていく」というのが理想的な経過となります。
しかし、実際の日常生活を振り返ってみるとどうでしょうか。 着替えはもちろん、洗濯物を干す、家事をする、仕事で荷物を持ったりリュックを背負ったりと、肩を使う場面は無数にあります。
骨折などで三角巾やギプスで完全に固定している時期でもない限り、「日常生活で肩をまったく使わない(完全安静)」というのは現実的にほぼ不可能です。
では、日常生活で肩を使わざるを得ない場合、どのように動かせば痛みを最小限に抑え、治りを早めることができるのでしょうか。
大切なポイントは以下の3点です。
① ゆっくりと動かす
どうしても肩を使わなければいけないとき、絶対に避けていただきたいのが「素早く動かすこと」です。必ず意識してゆっくりと動かしてください。
ゆっくり動かすと、身体は自然と「痛くないポジション」を探しながら動くようになります。身体は本能的に痛みを避けようとするため、ゆっくりであれば「あ、ここから先は痛いな」と感じた瞬間に、角度や向きを微妙に調整できます。
逆に素早く動かしてしまうと、一瞬で痛い角度を通過するため、調整が間に合いません。「痛いのは一瞬だから」と素早く動かし続けてしまうと、怪我をしている患部を毎回刺激することになり、治りが大幅に遅れてしまいます。
② 痛くない角度・方向を探しながら動かす
肩を上げたり動かしたりする際は、「自分が一番痛くない角度や回転の向き」を探しながら動かすことが大切です。
たとえば「腕を上にあげる」という動作ひとつをとっても、
- やや前方から上げるのか、真横から上げるのか
- 手のひらを「上」に向けた方が痛くないか、「下」か、あるいは「中間(手の側面が上)」か
このように、痛めている組織(腱や滑液包など)によって、痛みの出ない角度は千差万別です。ご自身の肩が「どの方向ならスッと動くか」を宝探しのように探しながら動かしてみてください。
③ 「下げるとき」こそ要注意
3つ目のポイントは、腕を「下げるとき」の意識です。
上げる時は痛みへの警戒心があるため、皆さん慎重にゆっくり行います。しかし、下げるときに緊張を抜いて、重力に任せてバタンと落としてしまう方が非常に多いのです。
これをやってしまうと、痛めている患部や腱を再び骨に擦りつけるような負荷がかかってしまいます。「上げるとき以上に気をつけて、ゆっくりとおろす」ことを徹底してください。
まとめ
今回お伝えした内容は、厳密な論文データというよりは、私が20年以上の臨床現場で多くの肩関節症状を診てきた経験に基づく実践的なコツです。
この動かし方のコツをしっかり理解し、日常生活で実践してくださった患者様は、経過が非常に良好な傾向があります。一方で、痛い動きを「そのうち治るだろう」と無理に繰り返し続けてしまう方は、何ヶ月も(時には年単位で)痛みが引きにくくなってしまうケースが散見されます。
もしあなたが肩の痛みがなかなか引かずに困っている場合は、ぜひ今日からこの3つのポイントを意識して過ごしてみてください。
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