クライミング・ボルダリングで指を痛めたときのリハビリ方法について 【パキる】とは

スポーツ関連

こんにちは。横浜市鶴見区ながとも接骨院です。
今回はクライミングにまつわるカラダの話を書いてゆきます。

パキる とは

クライミング特有の怪我に指の損傷があります。

クライミングで使われる言葉に

「パキる」

という言葉があります。

指を怪我する事を表現した言葉です。

中には痛めた瞬間に本当に音が聞こえるようなこともあります。

私も昔、パキった経験がありますが、そのときは音はしませんでした。

以下のようにホールドをつかんだ状態で、次の動作に移る瞬間に起こりやすい怪我で

指の腱や筋肉、腱鞘などの損傷を現す言葉です。

指を曲げる筋肉は肘のあたりから始まって、手首の前側を通り、各指に分岐してゆきます。

指の部分では腱が浮き上がらないようにするために、バンドのような部分があります。

このバンドのことを 靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう) と言います。

文献によって多少の違いはありますが、だいたいこんな感じです。

手首に近い方から

A1

A2

A3

A4

と番号をつけて呼ぶことが多いです。

クライミングの動作で負担がかかるのはこのうちA2腱鞘であると言われています

他の腱鞘にももちろん負荷はかかりますが

A2腱鞘は特にカチ持ちと言われる握り方をすると

カチ持ち(アーケ、クリンプ)

腱が特に浮き上がるようになるため損傷しやすいとされています。

対してオープンハンドと言われる

こういった握り方ではカチ持ちに比べ、腱鞘にかかる負荷は少ないと考えられます。

オープン

ガバホールドなど、指全体がホールドに密着するような掴み方も比較的普段は少ないと考えられます。

リハビリでは、こういった握り方による負荷の違いをうまく利用してゆく必要があります。

パキってしまった時の処置について


パキってしまった時の対処法は、

  • ①まず冷やして固定
  • ②医療機関を受診 腱が切れていたりしないか確認
  • ③しばらくクライミングは中止して指を使わない運動に変更
  • ④炎症の具合を見て、徐々に復帰

という形になります。

冷やす部分に関してはRICE処置の原則に従い行っていただきますが

(※RICE処置 怪我をした時の行動指針 安静・アイシング・圧迫・挙上 のこと)

場所的にそこまで腫れが出たりすることは少ないので、冷やして固定しておけばいいと思います。

※アイシングに関しては効果に関して議論があるところですので、好みに合わせて行ってよいと考えています。当院では炎症があるときには行うようにしています。

アイシングの例

洗面器に氷水を作り、手のひら事冷やします。

15分~20分が目安です。

氷水だと冷たすぎる時は普通の水でもいいです。

固定の例

これは(ばね指)という指の症状用のサポーターです。手首の方まで固定できるため、パキった時の固定にもピッタリです。

自分で『パキッた』と思っていても、違う怪我の可能性もありますので、なるべく医療機関で一度見ていただきましょう。

その後のリハビリで大切なのは

炎症が引いてから、徐々に負荷をかける

と言う部分が大切になります。

腱や靭帯などの組織を痛めた場合、痛め方にもよりますが、一般の方が思っているより修復に時間がかかります。

何か月単位という場合も多いです。

きちんと炎症が引いていないうちに負荷をかけすぎてしまい、長引くケースは多いので

すこし慎重すぎるくらいのペースで進めてゆく方が結果的に早く復帰できます。

パキった指が触っても痛いうちは炎症が収まっていない時期です。

いっそのことクライミング自体からすこし距離を置いて、別の運動を取り入れた方が良いです。

指以外は元気なわけですから、ヨガやピラティスなどでカラダを柔らかくバランスを整えるようにしたり、ランニングを取り入れて全身運動をしたりしても良いです。

クライマーの方同士で話していると、『パキったけど翌日なんとか登れた・治った』という話を聞いたりしますが

そういう怪我はまれで、やはり基本的には重めに考えておいた方が良いです。

リハビリの進め方

以下に炎症が引いた後、負荷をかけてゆく順番の例を示します。

※あくまでも一例です。

第一段階

普通に握る動作で痛くないか確認します

握り拳を作るように握る

指の根本の関節だけ曲げるように握る

先端の関節だけ曲げるように握る

それぞれに違う筋肉が動員されますし、腱鞘への負荷のかかり方も変化しますので、

こういった細かい動きを丁寧に行なってゆきます。

これで痛いようですとまだ炎症がある可能性が高いので、指を使った運動はまだ無理です。

第二段階

ひっかけて物をもつ

ここではダンベルを持っています。

握りこむように持つ

引っかけるように持つ

軽いものから徐々に重いものにしてゆきます。

まだ、キャンパボードやホールドなどにぶら下がったりしてはいけません。

ダンベルがなければカバンなどで代用しても良いですね。

第三段階

上の段階を経て、痛みがなければ徐々にクライミング特有の動作に近づけてゆきます。

例えば、オープンハンドで体重の3分の1ぐらいをかけてみる

カチ持ちは不可が強いのでオープンが原則です。

オープンで持っても負荷はそれなりにかかります。

第四段階

次に、オープンハンドで体重の3分の2

その後

オープンハンドで体重をかけてみる

という具合で徐々に負荷をかけてゆきます。

※院内にぶら下がる場所がなく写真が撮れませんでした。すみません。

痛みが出たら中止するようにします。

その後、徐々にクライミングに復帰しますが、課題はなるべくデッドの動作が少なく、スタティックなものを選んだり

指に対する負荷が優しめの物から行きます。

カチ系のホールドでなくとも、手には負担がかかります。

例えばスローパー系のホールドでも、持ち方によっては結構負荷がかかりますので、とにかく注意しながら行うことが大切です。

このような考え方でリハビリを進めてゆくとよいと思います。

その他 早く治すためのコツ

  • ・栄養のバランス
  • ・睡眠

などにも気を付けた方が良いです。

栄養素はしっかりバランスよく取れていますでしょうか。

サプリメントに頼りきりになるより

まずは普段のお食事のバランスを見直してゆき、そのうえで足りない栄養素をサプリで補給するのが基本です。

また、身体が修復するのは就寝中です。

寝ることによって成長ホルモンなどの体の組織を修復するホルモンが分泌され

怪我した組織が修復して強くなってゆきます。

  • ①適度な運動負荷
  • ②栄養
  • ③睡眠

この3つのうち、どれが欠けても怪我は治りにくくなります。

と、長々と書いてきましたが。

とにかくパキってしまったら甘く考えずにしっかりとじっくりと取り組んでいった方がよい

という事になります。

偉そうにいろいろと書いてきましたが

自分自身もクライミングに復帰したばかりですので、怪我をしないように徐々に行っていこうと思います。


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