成長期の子供が特にぶつけたりしたわけでないのに踵(かかと)を痛がる場合、シーバー病という成長期特有の症状の可能性があります。
シーバー病が疑われる場合はまず、整形外科に行ってレントゲンなどの画像診断を受けていただくことを強くお勧めいたします。
そのうえで、痛みがなかなか引かないケース に対する当院での施術内容をご紹介いたします。
この記事を書いた人

長友 芳之(ナガトモ ヨシユキ)
日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー・柔道整復師
神奈川県横浜市鶴見区『ながとも接骨院』にて活動中。
科学的根拠に基づいた情報発信を心がけていますが、一部自身の経験に基づいた内容を含みます。
参考文献
①Conservative Management of Sever’s Disease (Calcaneal Apophysitis): A Comprehensive Review of Treatment Efficacy
Tonyclinton C Nweke et al.2025
②Risk factors and associated factors for calcaneal apophysitis (Sever’s disease): a systematic review
Pilar Nieto-Gil et al.2023
③Comparison of Braces for Treatment of Sever’s Disease (Calcaneal Apophysitis) in Barefoot Athletes: A Randomized Clinical Trial
Emily A Sweeney et al.2023
シーバー病とはどんな症状?
ジュニアアスリートに良く起こる、成長期特有の踵の骨の成長障害です。
アキレス腱というふくらはぎの強力な腱と足裏の足底腱膜の牽引力が、踵の骨を引っ張ることで痛みを発生していると考えられています。

一般的に8歳から12歳くらいの年齢で発症し、女児よりは男児に多く、スポーツをなさる方に起きることが多いです。
ほとんどの症例は成長と共に痛みがなくなってスポーツ復帰できるようになりますので過度な心配は不要だと考えられています。
ただ、痛みが引くまでに時間のかかる方もいるため、スポーツを本格的に行なう子供にとっては頭の痛い問題です。 長期化を避けるためになるべく早めの対策が大切です。
ポイント:鑑別すべき痛みが結構多い
踵の部分が痛いといっても、すべてがシーバー病なわけではないということは押さえておいた方がよいポイントになります。

踵の骨の下の滑液包の炎症、アキレス腱の痛み、足ウラの腱膜の痛み、足首後方の使い過ぎによるインピンジメントなどの可能性もあります。
こういった症状との鑑別のためにも、早めに整形外科を受診した方がよいです。
原因 どういう人がなりやすいのか
スポーツを頑張っている男児に多いと冒頭で書きましたが、他にもいくつかリスクファクターとされるものがあります。それが以下の通りです。
・足首の背屈制限
→足首を下の図のように上に上げる【背屈:はいくつ】という動きがあります。
この動きの硬さとシーバー病との関与が高いとされています。

・足のアライメントの問題
→回内足・偏平足などがあると、シーバー病になりやすいという報告もあります。

・走り方・歩き方
→着地の衝撃は大きく関係するとされます。
・体重増加
→なども関与があるとする報告もあります。
・ほかにも、オスグッドシュラッター病と言う膝の成長障害があるとシーバ―病になりやすい とする報告もあります。
改善方法 保存療法(手術しない治療法・リハビリ)は効果あり
シーバー病は、保存的な治療で改善する可能性が高いとされます。以下に保存的アプローチのポイントを説明します。
基本的な改善方法 痛い時は安静→痛みがとれたら少しずつ動かすが鉄則

シーバー病に限った話ではありませんが、痛みが強い時はまずは患部を安静にすることが大切です。
その後、痛みの引き方を見て、徐々に運動を再開して負荷をかけていくことが大切になります。
上のイラストの痛み・炎症が強い時期に無理をすると、余計に炎症が強くなってしまって結果的に長引くことになります。
痛みや炎症がある時期は患部外トレーニングのみにして無理をしないことが大切です。
負荷のかけ方は、患者様の症状に合わせて、運動の質・強度・量を少しずつ段階的に上げてゆくことが大切です。
当院では、日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナーが最新の知見に基づき、患者様一人一人に合わせたメニューを組んでいます。
装具・インソール・足裏クッションで保護する

その方の足に合わせて作ったオーダーメイドの装具・インソールが効果的である というデータがあります。
ただし、ある研究では、既製品の足首サポータを使った人も、あまり結果に差は無かったというデータもありますので、必ずしも個人に併せて作成したインソール等である必要はないと思われます。

踵に痛みがある方は、足裏のかかと部分にクッションを入れる事で痛みが楽になることが多いので、当院でもクッションを入れて楽な場合は使用しています。
テーピングで保護する

キネシオテーピングでアキレス腱の補助をしたり 踵を保護することも有効です。
巻き方の例を動画で説明しています。
『キネシオテープ群とプラセボ群では、両方とも痛みを改善する効果があった』とする報告もありますが、いずれにせよテーピングなどを貼ることで痛みは緩和する傾向にありますので、当院でも多く行っています。
テーピングを行う時は、皮膚のかぶれには要注意です。
ストレッチで柔軟性をつける

シーバー病の方は、アキレス腱の硬さ、ふくらはぎの硬さが強いとされますので、ふくらはぎ~アキレス腱にかけてしっかりと伸ばすようにします。
また、前述のように膝の前側の痛みとシーバー病の関係もあるとされますので、ふくらはぎだけではなく大腿部(太もも)のケア・ストレッチも同時に行う事が有効と考えられます。
ストレッチの行い方はこちらの動画でまとめています。
湿布など
痛みが強い時期には湿布などを付けていただくことも効果があります。
ただ、当院は病院ではないので 湿布や消炎剤の処方などはできません。
個人的考え
上記のような科学的根拠に基づき痛みの評価を進めていくのですが、実際に痛みを訴えている人が来た時に大切なのは、その方の症状をよく見る ことです。
柔軟性が十分にあるタイプの方と、柔軟性が足りないタイプの方では、症状の出方や効果的な施術方法が違うことが多いです。
また、『踵が痛い』とひとことで言っても
踵の内側 or 後ろ側 or 外側 or 足ウラ側 どこが痛いのかをよく見てゆく必要があります。
例えば、踵の内側が痛いとき、前述の回内足があったりすると、足を着足した時に内側により強い負荷がかかることがあります。
この場合は、踵の位置を補正するテーピングが有効な事が多いです。
また、踵の後ろ側が痛い場合は、アキレス腱の牽引が強いことが考えられますので、ストレッチを多めに行うと効果的 と言う具合です。
このように、個々で微妙に違う症状をよく見たうえで
その方の踵の痛みに一番関与しているものはなんなのか?を考えてゆくと おのずと早く改善するための道筋が見えてきます。
当院ではそのように施術をすすめさせていただいております。
病院に通っていても症状が改善しない方は、ぜひ一度ご相談ください。



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